神経認知機能障害は、かつて「痴呆」と呼ばれ、発症したら最後、打つ手がないと思われていました。しかし、実際には早期発見、早期治療が大切な病気です。早期に適切な治療を始めれば、進行を遅れせることも、症状を改善させることもできます。
ある日突然発症するものではなく、徐々に進行する病気です。そのため、家族や本人が「なにかおかしい」と小さな異変をキャッチすることが大切です。
家族が神経認知機能障害を比較的早く気付くポイントは記憶障害、次に気づきやすいのは判断力の障害と実行機能の障害です。物事を理解して計画的に実行することが難しくなるので、複雑な仕事ができなくなります。
また「その人らしくなくなる」のも大切な兆候です。身だしなみがだらしなくなったり、趣味に興味を失ってしまうといった変化は注意を要します。
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神経認知機能障害早期発見、早期治療が大切な病気
「神経認知機能障害による物忘れ」と「老化」による物忘れの違い
神経認知機能障害による物忘れ
- ・体験したこと自体を忘れる
- ・ヒントを出しても思い出せない
- ・忘れたことを自覚していない
- ・思考力や判断力も低下する
- ・時間や季節、場所もわからなくなる
- ・どんどん物忘れがひどくなる(進行性)
- ・日常生活に支障をきたす
老化による物忘れ
- ・体験したことの一部を忘れる
- ・ヒントがあると思い出せる
- ・忘れやすいことを自覚している
- ・思考力や判断力は変わらない
- ・年月日を間違えることはあるが季節の感覚ははっきりしている
- ・忘れっぽさがあまり進行していない
- ・日常生活に影響はない
神経認知機能障害 「受診の勧め方」
神経認知機能障害の高齢者は、ご本人に病識がないことが多いため、受診の促し方が難しいものです。もし、ご自分の変化に少しでも気付いているのであれば受診を受け入れてくれるかもしれません。
しかし多くの場合は、直接的に「物忘れが激しいのでお医者さんへいきましょう」というと本人はショックを受けてしまうでしょう。場合によっては「私はどこも悪くない」と強く拒否されてしまいかねません。
かといって「お見舞い」「買い物」など嘘をついて病院へ連れ出すのは問題です。
「健康診断をうけてみよう」や「こんなイベントがあるみたい」と工夫をしてみましょう。
神経認知機能障害について
65歳以上の高齢者の15%に神経認知機能障害であると言われ、2012年時点で462万人。軽度認知障害(MCI)「認知症予備群」は、13%で、約400万人と推計されています。(4人に一人が認知症予備軍)。
このページでは、身近に存在する神経認知機能障害の症状について詳しくご説明します。
早期発見 クロッキーテスト
神経心理学の分野で、時計の文字盤は、視空間認知と構成能力をみる簡易精神機能評価検査として伝統的によく用いられてきたそうです。
神経認知機能障害の早期発見に、「クロッキーテスト」が有用です。被験者にとっても簡単で抵抗が少なく、認知症の早期発見に有効なテストのひとつです。